スマホの防水機能はどこまで平気?海やお風呂で水没故障する?

2021年8月19日

近年では、新たに発売されるスマホのほとんどに防水機能が備わっています。
「防水」というからには、水に濡れても問題ないと思っている方も多いと思いますが、スマホの防水機能がどこまでのレベルで大丈夫なのかを把握している方は少ないのではないでしょうか。
実はスマホの防水機能には、多くの人が知らない意外な事実があるのです。

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スマホは完全防水ではありません

結論から言うとスマホの防水機能は、完全・完璧に防水ができるという機能ではありません。
スマホ修理王への依頼にもよくあるのが、「防水機能があるスマホなのに水没して故障した」というケース。
実は水濡れの程度や状況によっては、防水機能が搭載されているスマホでも水没故障してしまうことがあるのです。

スマホの「防水」とは何か

それでは、スマホにおける「防水」というのは、一体どのように定義されているのでしょうか。
基本的にAndroidスマホやiPhoneの防水機能は、真水に濡れるということを前提にして搭載されています。
中には飲料に耐性のある機種もありますが、基本的なスマホの防水機能は「真水に濡れたときに防水性能を発揮する」と認識しておくとよいでしょう。

IPとは何か

スマホでは、防水機能があるモデルに「IP〇〇」という表記がされています。
このIPというのは、Ingress protection(侵入に対する保護)という意味。
IP〇〇と書かれている最初のほうの〇が防塵の度合い、後のほうの〇が防水の度合いを示しています。
例えば「IP67」だと、防塵レベルが6で防水のレベルは7。
「IPX8」だと、防塵機能はないけれど防水機能は8ということを意味します。
つまり、IPに続く数字が大きければ大きいほど、防塵や防水のレベルが高いということです。

■IPの等級と防水に関する保護レベル

IPX0:防水性能なし
IPX1:垂直に落ちてくる水滴による影響はなし
IPX2:垂直より左右15°以内からの降雨なら影響なし
IPX3:垂直より左右60°以内からの降雨なら影響なし
IPX4:全方位からの飛沫に対して防水性能あり
IPX5:全方位からの直接噴流に対して防水性能あり
IPX6:全方位からの強い直接噴流に対して防水性能あり
IPX7:スマホを水中に入れても水の侵入なし(水面下15cm~1m/30分間の規定内の場合)
IPX8:水中での使用が可能(メーカーと機器により規定あり)

このように、ひとくちに「防水」と言っても、IPの等級や機種によってその度合はさまざま。
さらにメーカーや機種によって防水の条件や規定が異なる場合もあるため、「このくらいの水なら大丈夫だと思っていたのに故障した」となってしまう可能性もあります。
防水機能があるからといって、完全に水から守られているというわけではないのです。

スマホの防水機能はどこまで平気?

それではスマホの防水機能は、どんな条件下でどこまでその性能を発揮するのでしょうか。
スマホの防水機能は基本的に真水に濡れたときを前提として搭載されていますが、お風呂やプールでは大丈夫なのか?雨に濡れたらどうなるか?
一つずつ確認していきましょう。

海水・プール

海水やプールの水には、塩分や消毒用の塩素が含まれています。
特に海水に含まれている塩分は、真水と比較して電気を通しやすいため、スマホの内部でショートしたり基板を損傷させたりする恐れがあります。

塩分や塩素に触れてしまうと、たとえ濡れた部分を乾燥させたとしても、塩分が付着したところの金属が錆びてしまうことも。
こびりついた成分や錆びを自分で取ろうとするとさらなる故障を招く可能性もあるため、一日でもはやく修理を依頼するのが良いでしょう。

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お風呂

海水やプールと違ってお風呂の水には不純物がないから大丈夫と思うかもしれませんが、実はここにも大きな落とし穴が。

スマホの機種によってはお風呂での使用を可としているものもありますが、そういった機種でも石鹸や入浴剤などが触れてしまうことは想定されていません。

特に石鹸水は真水と比較して表面張力に差があり、スマホの内部に入り込みやすい構造になっています。

そのため、泡がついた手でスマホを操作したり、入浴剤の入ったお湯に落としたりすると故障してしまう恐れがあるので注意が必要です。

そしてそれ以外にも注意したいのが、スマホが急激な温度変化にさらされること。

あたたかい浴室内にスマホを持ち込み、お風呂から出たときに突然冷たい外気に触れると、温度変化によってスマホの内部に水分が発生することも。

そうなるとスマホの内部で予期せぬ水濡れが起こってしまい、結果として水没故障してしまうというケースもあるのです。

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雨が降る中にスマホを置きっぱなしにするようなシチュエーションはないかもしれませんが、夕立や豪雨で気づかないうちにポケットの中まで濡れてしまうことはあるかと思います。

前述したIPの数値が高ければ雨による影響は少ないはずですが、実際は「雨に濡れてからスマホがおかしくなった」という修理依頼もしばしば。

多少の雨ならそこまで心配することはありませんが、ポケットやカバンの中で長時間雨水に濡れたままだったり、強い豪雨の中でスマホを使用したりすると、内部に水が侵入して故障してしまう原因になることがあります。

真水

IPの高い防水機能が備わっているスマホで、かつ真水に濡れたということであれば、よほどのことがない限り水没故障することはないでしょう。

ですが、真水であっても注意するべきポイントがあります。
それは、経年劣化による防水性能の低下。

スマホの防水機能の寿命は約2年といわれており、購入から年月が経てば経つほど防水機能は低下していきます。

また、SIMカードトレイがきちんと閉まっていなかったり、キャップやゴムの部分が劣化していたりする場合も防水機能がきちんと発揮されません。

つまり、スマホの防水機能は「濡れても大丈夫」と過信するより、「濡れても壊れにくくなる」程度に捉えておくほうが無難かもしれません。

iPhoneとAndroid、それぞれの防水機能

iPhoneとAndroidスマホの防水機能には、どのような違いがあるのでしょうか。
メーカーや機種によって仕様が異なるので、それぞれ見ていきましょう。
※以下はすべて、2021年8月時点での情報です

iPhoneの防水機能

【iPhone SE (第2世代)、iPhone XR、iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus】
上記の機種は、 IP67等級に適合。
深さ1mまで/最長30分間の防水テストにクリアしています。

【iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone 11】
上記の機種は、 IP68等級に適合。
深さ2mまで/最長30分間の防水テストにクリアしています。

【iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max】
上記の機種は、 IP68等級に適合。
深さ4mまで/最長30分間の防水テストにクリアしています。

【iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max】
上記の機種は、 IP68等級に適合。
深さ6mまで/最長30分間の防水テストにクリアしています。

上記のようにIPの数字は同じ「8」であっても、機種によって防水性能のレベルが異なることがあります。
AppleのHPには「防沫性能、耐水性能、防塵性能は永続的に維持されるものではなく、通常の使用によって耐性が低下する可能性があります」と明記されているので、やはり長く使用するほどにiPhoneが水濡れによって故障する可能性は高くなるといえるでしょう。

ちなみに【iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPhone SE (第 2 世代)、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR】のモデルは、飲料に関する耐性もあるようです。
ソーダ、ビール、コーヒー、紅茶、ジュースなど、一般的な飲料をこぼしてしまった場合は、その部分を真水ですすぎ、拭いて乾かせば問題ないとされていますが、上述の通り永続的に保証されるものではありません。

Androidスマホの防水機能

Androidスマホはメーカーも端末も多種多様なので、いくつかのモデルをピックアップしてご紹介します。

【Xperia 1 III】
Xperia 1 IIIは(IPX5/IPX8)に適合しています。
※IPの等級が併記されている理由は、それぞれの等級で防水性能の内容が異なり、複数の項目に合格しているため

IPX5は、防水テストの条件として約3mの距離から約12.5L/分の水を内径6.3mmのノズルで3分以上注水。
全方向からの噴流水によっても、電話機としての性能を保つことができたという結果のもの。
IPX8は、常温で静水の水道水を貯めた水深1.5mの水槽に静かにスマホを沈めた状態で、約30分間水底に放置しても製品内部に浸水せず、電話機としての性能を保つことができたということを示しています。

【Galaxy S21、S21+、Galaxy S21 Ultra】
Galaxy S21シリーズは、すべてIP68等級に適合。
こちらもXperia 1 IIIと同様、常温で静水の水道水を貯めた水深1.5mの水槽に静かにスマホを沈めた状態で、約30分間水底に放置しても、浸水や故障をしなかったということも示しています。

【AQUOS R6】
AQUOS R6は(IPX5/IPX8(お風呂防水対応))に適合。
IPX5とIPX8の防水テストや仕様は、Xperia 1 IIIと同じです。
お風呂防水対応と記載がありますが、条件は常温(5℃~35℃)の真水・水道水にのみ対応、周囲温度5℃~35℃、湿度35%~85%の範囲内で使用することと規定されています。

もしもスマホが水没してしまったら【応急処置】

スマホが水に濡れてから何だか調子が悪い、水に浸してしまったから不安――
そんな方は、応急処置としてできる対処法があるのでぜひ試してみてください。
早いうちに適切な処置を行えば、スマホを故障から救えるかもしれません。

スマホの電源を切る

スマホの内部には電気が流れているため、そこに水分が入るとショートする恐れがあります。
内部の水分がなくなるまでは、電源をオフにしておくのが安全です。
また、そもそも水に濡れたことで電源が切れてしまい、そのまま点かなくなってしまうというケースもあります。
いざというときのために、日頃からスマホのデータはこまめにバックアップを取っておくことをおすすめします。

スマホ内部の水分を取る

水濡れが心配でとにかく早く乾かしたいという気持ちから、スマホにドライヤーをかけてしまう方がいらっしゃいますが、これはNGです。
スマホを乾かすのに最適な方法は、とにかく動かさず、風通しの良い場所で自然乾燥させること。
扇風機の風を当てたり、水分を出すためにスマホを振ったりすると、内部での浸水が広がってしまうこともあるのでそちらもNGです。

LCIをチェックしてみる

LCIとは、スマホの液体侵入インジケータのことで、通称「水没シール」と呼ばれるものです。
内部に水濡れがあるとこのシールの色が赤く変化するので、自分のスマホが水没しているのかどうかを確認したい方はLCIをチェックしてみましょう。
LCIの位置は機種によって異なるため、メーカーのHPやWEB検索などで確認してみてください。

防水機能があるスマホも、水没すると故障します

このように、「防水機能がある」=「完全防水」というわけではありません。
もしスマホが水没したら、取り返しのつかないことになる前に修理に出してしまうことをおすすめします。

こんな症状が表れたら、すぐに修理に出しましょう

■ディスプレイの表示に不具合がある
■カメラやスピーカーに不具合がある
■スマホの電源がつかない
■スマホが熱くなる

水濡れの影響は、時間が経ってから少しずつ表れることもあります。
最悪の場合は大切なデータが消えてしまったり、スマホの電源を入れられなくなったりすることもあるので、少しでも違和感があればすぐに修理に出しましょう。

水没したスマホの修理にかかる費用

機種やサポートによって異なりますが、水没したスマホの修理には高額な費用がかかることがほとんど。
例えばApple StoreでiPhoneの水没故障を修理する場合「Apple Care+」などの保証に加入していなければ最大で税込71,280円の費用がかかります(2021年8月時点)。
各キャリアやメーカーでも修理サービスを行っていますが、Apple Storeでの修理と同様に高額な費用や期間を要するのは否めません。
また水没故障は修理ができないことも多く、端末を交換することになる場合もあります。

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この記事の監修者

株式会社フラッシュエージェント

取締役 大橋光昭

1983年大阪府生まれ。OA機器販売営業、インターネット広告代理店のマーケティング職・新規事業開発職などを経て、2015年4月 株式会社ヒカリオを同社代表と設立。iPhone修理事業の担当役員として商業施設を中心に延べ14店舗(FC店含む)の運営に携わる。2019年7月 iPhone修理事業の売却に伴い株式会社ヒカリオを退職。2019年10月 株式会社フラッシュエージェント入社。「スマホ修理王」の店舗マネジメント及びマーケティングを担当。2020年4月 同社取締役に就任。

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