iPhoneで「プライバシーに関する警告」と表示されるのはなぜ?

2022年5月11日

iPhoneでWi-Fiに接続する際に出ることがある「プライバシーに関する警告」という表示。警告は出ていてもWi-Fiには繋がるから、とそのまま接続していると、思わぬ事態を招くかも。「プライバシーに関する警告」とは何なのか、どうすれば安全にWi-Fiに接続できるのか、正しく把握しておきましょう。

この記事では、iPhoneでWi-Fiに接続する際に表示されることがある「プライバシーに関する警告」について解説していきます。

◆◇目次◇◆
■「プライバシーに関する警告」とは
■「プライバシーに関する警告」が表示されやすいシーン
■「このネットワークは暗号化されたDNSのトラフィックをブロックしています」について
■警告文を気にせず使い続けると起こる問題
・iPhoneをネットに繋ぐことができない
・ネットの接続状況を傍受される可能性が高い
■「プライバシーに関する警告」が表示されないようにする
・iPhoneの再起動を行う
・iPhoneでプライベートアドレスの設定を変更する
・Wi-Fiの機器側でDNS暗号化を無効にする
・Wi-Fi機器で非公開ネットワークを解消する
・使用しているWi-Fi機器を交換する
■安心・安全にWi-Fiに接続するには?
・iOSを最新にアップデートする
・不審な無料Wi-Fiは利用しない
・アプリを使ってセキュリティを強化する
■Wi-Fiの設定やセキュリティに関して相談したい場合は?
・Appleの正規店に問い合わせる
・キャリアに相談する
・情報セキュリティ安心相談窓口に相談する
■プライバシーに関する警告には適切な対処を

「プライバシーに関する警告」とは

iOS 14から表示されるようになった「プライバシーに関する警告」。
これは、iPhone本体ではなくWi-Fi機器への警告メッセージです。
AppleはWi-Fi暗号化レベルについて「WPA2」以上を推奨しています。「プライバシーに関する警告」は、この基準を満たしていない状態の時に表示されるものです。つまり「プライバシーに関する警告」とは、「セキュリティ面で不安なWi-Fiなので、これに接続するのは危ないかもしれませんよ」という案内だといえます。

「WPA2」とは?

「WPA2」は、Wi-Fi Protected Access 2の略称で、無線LAN機器の業界団体「Wi-Fi Alliance」が作った、無線LANの通信を暗号化する規格のひとつです。
暗号化方式はWPA2の他にも、WEP(Wired Equivalent Privacy)やWPA(Wi-Fi Protected Access)などがあります。これらは、無線LANのアクセスポイントへの接続を認証し、通信内容を暗号化する役目を担っており、パソコン・無線LANアクセスポイント、携帯型ゲーム機などに活用されています。

通信暗号化方式のうち、最初に採用されたのがWEPです。WEPは、無線LAN規格IEEE 802.11で使用する暗号化方式の規格で、通信内容を暗号化する鍵=WEPキーを作り、送信側と受信側に同じ鍵を登録して暗号化と復号(暗号化された内容をもとの情報に戻すこと)を行うというものです。
WEPは、暗号の内容が短いのが特徴です。暗号が短いと簡単に予測できてしまい、セキュリティ上問題があるため、利用は推奨されていません。
WEPよりも暗号の作り方が複雑なTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)という暗号方式を使用しているのがWPA。
TKIPはユーザーが決めた暗号キーを一定時間ごとに変更し、暗号キーを作る際に機器のMACアドレスを利用するため、暗号キーの推測がWEPよりも難解で複雑になるのです。しかしながら、WEPに比べてセキュリティの問題は強化されていますが、時間をかければ暗号キーを解読されてしまうという問題は残ったままでした。
そこで「WPA2」という規格が開発されました。「WPA2」は、WEP・WPAの欠点をカバーするため、AES(Advanced Encryption Standard)という高度暗号化アルゴリズムを使い、セキュリティの脆弱性を強化したのです。
私たちが日々安全・安心にWi-Fiを使用できるのは「WPA2」の働きがあるからといえます。

「プライバシーに関する警告」が表示されるのはなぜ?


◆フリーWi-Fiを使っている
◆DNS通信を暗号化できていない
◆プライベートWi-Fiアドレスがオフになっている
◆セキュリティ規格の古いWi-Fi機器を使っている

「プライバシーに関する警告」が表示されるのは、上記のような場合が多いです。
外出先でサクッと利用できる点が、とても便利なフリーWi-Fiなど、頻繁に利用している人、結構いるのではないでしょうか。フリーWi-Fiはセキュリティリスクがあることが多いため、セキュリティに関する警告メッセージが表示されることが多くあります。

「このネットワークは暗号化されたDNSのトラフィックをブロックしています」について

「プライバシーに関する警告」の詳細には「このネットワークは暗号化されたDNSのトラフィックをブロックしています」と説明があります。これはいったいどういう意味なのでしょうか。

DNSとは

インターネット上のドメイン名を管理しているシステム「Domain Name System」を略して「DNS」といいます。
DNSは、IPアドレスを入力せずに特定のホームページを閲覧することが可能なため、とても便利なシステム。
しかし、このDNSを用いて名前解決(ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みのこと)するときの通信が暗号化されていないと、盗聴やなりすましなどのリスクが生じてしまいます。パッと見ただけでは偽サイトだと気づかないサイトに誘導されてしまう、といったケースもあるので、注意が必要です。
こういった危険を回避するため、公衆Wi-Fiを利用する場合は、DNSを暗号化することが重要となります。

「DNS通信の暗号化が失敗した」ということ

以上を踏まえて、「このネットワークは暗号化されたDNSのトラフィックをブロックしています」とは、「DNS通信の暗号化が失敗して、セキュリティリスクのある接続になっていますよ」ということです。

警告文を気にせず使い続けると起こる問題

「警告メッセージが表示されても、Wi-Fiは使えるし、特に気にしたことがない」
そういった方も少なくないと思いますが、警告されている以上、まったく問題がないわけではありません。
この警告メッセージがでている接続を続けることで、どのようなことを引き起こす可能性があるのか、説明していきます。

iPhoneをネットに繋ぐことができなくなる

自宅で家族複数名と使用しているPCでのWi-Fi使用、自分が使用しているiPhoneでのWi-Fi使用ができなくなり、ネットに繋ぐことができないといったケースがあります。
特定の端末だけ接続できない時は、接続できない端末のIPアドレス、DNSサーバーのアドレスを固定することで、正しく接続できるようになる可能性があります。

ネットの接続状況が漏れる可能性がある

「ネットにも繋がるし、別に問題ないんじゃないかな」と、特に気にせず使い続ける方もいると思いますが、ネットに繋ぐことができたとしても、セキュリティ面でトラブルが発生するケースがあります。
警告が出ているからといって、そのWi-Fiに接続して行った行為のすべてが傍受される可能性が低いですが、アクセスしたWebサイトやサーバーの名前などの情報は漏れる可能性は高く、漏洩した情報が悪用されることもあるので、注意が必要です。
偽サイトへ誘導されるケースは、フリーWi-Fiを使用している際に起こることが多いので、iPhoneの設定がフリーWi-Fiに自動接続されてしまう状態になっている場合は、自動接続をされないように見直すと、意図せずフリーWi-Fiに繋がってしまう状態を避けられます。

​​「プライバシーに関する警告」の表示を消すには

警告が表示された場合、どのような対応をすればいいのか、その方法をご紹介します。
※下記の対処法はセキュリティリスクがなくなることを保証するものではありません

iPhoneの再起動を行う

誤表示も少なくない「プライバシーに関する警告」メッセージ。
特に問題はないのに、表示されてしまうケースもあります。その場合には、iPhoneを再起動することで、警告の表示が消え、問題なく使用できる場合がほとんどです。
iPhoneの再起動は、端末にトラブルがある際等にとっても役に立ちます。警告メッセージが表示された場合も、まずは再起動してみましょう。

iPhoneでプライベートアドレスを設定する

◆「このネットワークではプライベートWi-Fiアドレスはオフになっています」
上記は、書いてある内容の通り、プライベートアドレスが有効になっていないことで表示されている可能性があるため、プライベートアドレスの設定を確認してみましょう。

〜プライベートアドレスをオンにする手順〜
設定アプリを起動

Wi-Fiをタップ

使用中のWi-Fi名をタップ

プライベートアドレスをオン

この設定をしても、Wi-Fiの接続方法や利用方法に大きな変化がない場合がほとんどですのでご安心ください。

Wi-Fiの通信機器側のDNS暗号化を確認

◆「このネットワークは暗号化されたDNSのトラフィックをブロックしています」
上記の表示は、ルーター側でDNSの暗号化が有効になっていないことが原因で表示されているかもしれません。この場合には、Wi-Fi通信機器のDNS設定を変更してみましょう。
ルーターの設定変更は基本的に、パソコン上で管理者としてログインして行います。
※具体的な操作方法は、所有しているルーターのマニュアルをご確認ください。

Wi-Fi機器で非公開ネットワークを解消する

◆「非公開ネットワーク」
この警告メッセージが表示された場合は、Wi-Fi機器側の設定を変更する必要があります。設定手順は利用機器によって異なるため、自身の所有している機器のマニュアルに従い「ネットワーク一覧に表示させる」に変更しましょう。

使用しているWi-Fi機器を交換する

警告メッセージが表示される可能性としてあげられるのは、上記の場合も多いですが「使用している機器が古い」というケースも考えられます。
精密機器業界の技術は日進月歩。長く使用している機器は、使用当初こそ最新であっても、使用年数と共に古くなり、新しい機器は定期的にリリースされています。新しいものと比較すると、古い機器はセキュリティ機能が脆弱な傾向が見られるので、警告メッセージが表示されるケースが多いのです。
使用しているWi-Fi機器が古い場合は、新しい機器へ交換もしてみるのもいいかもしれません。
「レンタルのルーターを使っている」という方は、そのルーターが故障しているということが考えられるので、交換を依頼しましょう。
※手続きの詳細は、レンタル元の業者にご確認ください

安心・安全にWi-Fiに接続するには?

iOSを最新にアップデートする

iOSの最新版を利用することは、セキュリティ面を配慮するとベストといえます。iOSはアップデートされる度にセキュリティが強化されるのが基本です。
古いバージョンのiOSをアップデートせず利用を続けている場合は、マルウェアへの感染・情報漏洩などのリスクがあるので注意しましょう。
詐欺等を働く悪意を持った側からすると、個人情報がぎっしり詰まったiPhoneは、有益な情報の宝庫。セキュリティ面が手薄だと、狙われる可能性が非常に高いです。ヒヤッとする瞬間を避けるためにも、iOSのバージョンは常に最新版にしておくことをおすすめします。

〜iOSのバージョン確認・アップデートの方法手順〜
設定アプリを起動

一般 をタップ

ソフトウェア アップデート

ダウンロードとインストール

不審な無料Wi-Fiは利用しない

外出時など、フリーWi-Fiは非常に便利ですが、セキュリティ面が手薄な場合が多くリスクが大きいため、利用しないほうが安全です。
SSID名の右横に鍵のマークが表示されない場合は、通信が暗号化されていない証拠。先述したように通信が暗号化されていない場合は、詐欺被害などに遭う可能性が高まります。
外出先等でフリーWi-Fiを利用する場合は、通信が暗号化されているか確認した上で、使用するのが賢明です。
しかし、暗号化されていても手放しで安心・安全と言い切れるわけではないので、注意して使いましょう。

アプリを使ってセキュリティを強化する

iOSに備わっているセキュリティ機能でも守られてはいますが、セキュリティアプリを使って、強固なセキュリティ環境をつくることでより安心・安全にネットを使用できます。
iOS同様、セキュリティ対策アプリも常に最新版にアップデートし、進化するウイルスに対応する必要があります。アップデートはその都度行いましょう。

◆iPhone用のセキュリティ対策アプリの一例
ノートン 360 モバイル セキュリティ
ウイルスバスターモバイル
マカフィーモバイルセキュリティ
Kaspersky Safe Browser

上記は多くのユーザーに利用されているアプリです。
「まずはどんな感じか試してみたい」という方は、無料で使用できるお試し期間を設けているアプリを使うのがおすすめ。ここに挙げたアプリはすべて有料ですが、中には無料期間を設けているアプリもありますよ。自分に合ったアプリを見つけてみてください。

Wi-Fiの設定やセキュリティに関して相談したい場合は?

Appleの正規店に問い合わせる

◆Apple Storeへの持ち込み
Apple Storeに予約をした後、iPhoneを持ち込んで相談できます。
近隣に直営店がある場合はこの方法がおすすめです。

◆オンラインサポート
Appleサポートのサイトにて、相談可能です。製品や相談内容に回答していく形式で、適切なサポート内容を案内してもらえます。

◆電話でのサポート
Appleサポートに電話をし、サポートを受けることができます。その際、iPhoneのシリアル番号が必要になるため、事前に確認しておきましょう。

キャリアに相談する

◆docomo
公式サイトには、問合せページが用意されています。
そこでお客様サポートページから、相談内容をカテゴリ別に選択していくと、悩みに応じた窓口を案内してもらうことができます。
チャット形式で24時間対応してくれる「おたすけロボット」の利用も可能です。

◆au
公式サイトに問合せページがあります。
契約者専用ページのMy auから問合せ・手続きを行うことが可能です。LINE・+メッセージ・電話での問合せもできるので、自分の環境にあった方法を選択できます。

◆SoftBank
公式サイトのカスタマーサポートのページから相談できます。
相談したい内容を選択していくと、問合せ内容に合ったページが表示されます。SoftBank公式SNSお問合せアカウントに相談することもできますよ。

情報セキュリティ安心相談窓口に相談する

「なんだかすごく不安だから、専門機関に相談したい」そんな方には、「情報セキュリティ安心相談窓口」への問合せがおすすめ。
IPAが国民に向けて開設している窓口です。ウイルスや不正アクセスに関する技術的な相談に対してアドバイスしてくれます。

プライバシーに関する警告には適切な対処を


「プライバシーに関する警告」が表示されても、スマホの利用を継続できてしまうため、「大丈夫っぽいし、まぁいいか」「あとで調べてみようかな」など、警告文を放置してしまう人は少なくないと思います。そのまま変わらず使い続けることができるなら、「そんなに大したことじゃないんでしょ」と思いがちです。
しかし、安全にWi-Fi接続し快適にネットを利用するには、やはりできる限りの対応をする必要があります。
警告メッセージが表示されたら、この記事で紹介した方法を、ぜひ試してみてください。
日々の生活に必要な商品の購入はもちろん、映画館や美術館のチケットや旅行先のホテルの予約など、インターネット通信を利用して支払いを行う機会が増えた今、セキュリティに関するトラブルはその都度しっかり対処する必要があります。
iPhoneなどインターネットを使用する機器を利用する際は、セキュリティ設定等に関して自分の状態をしっかり把握しておくことが重要です。セキュリティに関する知識を身につけて、安心・安全にWi-Fiを利用し、快適な毎日を送りましょう!

この記事の監修者

株式会社フラッシュエージェント

取締役 大橋光昭

1983年大阪府生まれ。OA機器販売営業、インターネット広告代理店のマーケティング職・新規事業開発職などを経て、2015年4月 株式会社ヒカリオを同社代表と設立。iPhone修理事業の担当役員として商業施設を中心に延べ14店舗(FC店含む)の運営に携わる。2019年7月 iPhone修理事業の売却に伴い株式会社ヒカリオを退職。2019年10月 株式会社フラッシュエージェント入社。「スマホ修理王」の店舗マネジメント及びマーケティングを担当。2020年4月 同社取締役に就任。

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